[不動産価格の査定と売却] |
不動産の売却についてのポイントを整理します。
→売却依頼方法 →売却に必要な書類 →売却にかかる税金 |
1.価格査定 |
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物件を売却する場合に、いくらで売りたいという希望もあるでしょうが、いくらで売れるのかをまず調べる必要があります。価格の査定には次の三種類の方法があります。 |
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@原価法; |
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土地を造成(購入)するのにいくらかかり、そして建物を建てるのにいくらかかったと、原価を積み上げてその不動産の価格を査定する方法です。 |
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A取引事例比較法; |
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2年前に隣のブロックで北道路に面する敷地の中古の家がある価格で売れたという取引の事例があったとします。今回売却する家は南道路に面した敷地で築年数は上記の家より10年程古いとします。売却物件は取引事例の物件より道路が南ですから有利ですが、建物は古いので不利です。また、2年前の取引ですので、毎年3%づつ不動産相場が下落しているとしますと、取引事例の価格は現在時点の価格では6%低くして比較をしなければなりません。このように、ある取引事例の価格があった場合、売却しようとする物件と比較し、売却物件の価格を査定する方法です。普通査定の誤差を少なくするために数点の取引事例を使ってその平均値を取ります。 |
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B収益還元法; |
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売却物件を最高収益が上がる方法で賃貸した場合に、その収入に対して適切な収益率(例えば7%)が得られる価格を算定する方法です。 |
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[ポイント] |
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この三種類の価格査定方法の内、原価法と取引事例法は、原価が上昇したり、取引事例が上昇したりするとそれにつれて査定額が上昇し、価格スパイラルが起こって、場末の土地でも1坪当たり1億円という非現実的な査定価格が出ても誰も異常だとは思わないこととなってしまいます。一方、収益還元法は賃料が計算根拠となっています。賃料は会社が事務所として使ったり、住宅として使用したりするときの対価です。従って、賃料が非現実的な高額になれば、テナントは退出し次のテナントは決まらないでしょう。即ち、非現実的な査定価格は結果として起こらないこととなります。 →投資効率の計算 |
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2.売却依頼 |
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不動産業者に物件の売却を依頼する場合に次の三種類の方法があります。 |
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@一般媒介契約; |
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数社の不動産業者に売却の依頼をする方法です。購入者を見つけて売買契約を成立した不動産業者のみが不動産手数料を受けることが出来ます。 |
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A専任媒介契約; |
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一社の不動産業者のみが売却の依頼を受けます。従ってこの不動産業者の責任は重く、全力で売却の努力をしなければなりません。但し、売主が親族などに直接売却した場合は、専任といえども不動産業者は不動産手数料を受け取ることは出来ません。 |
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B専属媒介契約; |
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上記の専任媒介とほぼ同じですが、売主が売却依頼した業者を介さずに親族などと直接取引きをした場合でも、その不動産業者に手数料を支払わなければならない契約です。従って、この契約をする場合は慎重に行い、真に信頼した不動産業者でなければ行わないほうが無難だと思われます。 |
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[ポイント] |
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どの媒介方法をとるか迷うところですが、その目安を申し上げます。一般媒介契約は、数社の不動産業者を競争させて早く購入者を見つけることを目的とします。然し、不動産業者の数をあまり多くしますと、責任感がなくなり逆に不動産業者は動かなくなりますので注意が必要です。専任媒介契約は一社の不動産業者に全てを任せるわけですから、本当に信頼する不動産業者を選ぶ必要があります。この場合、大手の名の通った不動産業者が信頼できるかというとそうとも限りません。大手の場合には多くの物件が集まり、依頼物件に集中して営業活動が出来なかったり、新人の営業マンが担当して歯がゆく思うこともあります。企業の規模にかかわらず人間的に責任感があり信頼できる不動産業者を選びましょう。どの不動産業者でも売却委任を受けた物件はコンピューターで全不動産業者に物件を公開しますので、不動産業者の規模の違いは全くないとお考え下さい。 |
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3.売却に必要な書類 |
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不動産を売却するには、売主から買主へ所有権の移転をする必要があります。売主の必要な書類は以下の通りです。 |
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@登記済み書(権利書) |
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A印鑑証明書 |
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B実印 |
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C委任状; |
司法書士への委任状で、売主の実印を押します |
D住民票; |
通常は不要ですが、権利書と印鑑証明書の売主の住所が違う場合に必要となります。 |
E戸籍謄本; |
売主が数回住所を移動している場合は、上記の住民票だけでは権利書と印鑑証明書の住所の繋がりが分らない場合に必要となります。 |
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[ポイント] |
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不動産を売却しようと思いましたら、まず権利書を確認してください。万一、紛失した場合は、保証書を登記所で発行してもらえば不動産の売却は出来ますので、担当の司法書士にご相談してください。 |
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4.売却による税金 |
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不動産を売却した場合に、売却代金から不動産手数料などの経費を支払った残りが全て手元に残るわけではありません。不動産譲渡税という分離課税がかかる場合がありますので、不動産の売却の前にあらかじめ計算をしておいてください。以下にその要約を示します。 |
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まず課税譲渡所得金額は次の式で計算されます。 |
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課税譲渡所得金額=譲渡金額−取得費−譲渡費用−特別控除 |
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(*)取得費; |
売却物件の購入価格、購入時の不動産手数料などの合計。取得費が分らない場合は、売却代金の5%。 |
譲渡費用; |
売却に要した費用。 |
特別控除; |
長期譲渡所得について100万円、居住用資産の売却の場合は3000万円の特別控除がある。 |
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@長期譲渡所得の税金; 所有期間が5年超の場合 |
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所得税及び住民税の額=課税長期所得額×26%(所得税20%・住民税6%) |
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(*)個人が優良住宅地造成のために譲渡した軽減特例; |
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課税譲渡所得金額が2000万円以下 20%、2000万円超 26% |
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A短期譲渡所得の税金; |
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所有期間が5年以下の税金は次のいずれかの高い額となります |
(A) |
所得税及び住民税=課税短期所得税×52%(所得税40%・住民税12%) |
(B) |
@(課税短期譲渡所得金額−特別控除(50万円等)+他の課税所得)×累進税率 |
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A他の課税所得×累進税率 |
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B(@―A)×110% |
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(注意)居住用資産の売却の特例や、買い替えの場合の特例などがありまので、ケースバイケースで税額計算をしてください。 |
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